■ 探偵・癸生川凌介事件譚 仮面幻影殺人事件 >> ゲーム紹介 ■

「仮面幻影殺人事件」の私的レビューv

▼ ゲーム紹介 ▼

ジャンル:
発売元:
価格:
機種:
発売日:
プレイ環境:

個人的評価:
推理アドベンチャーゲーム
元気(株)
5,040円  ベスト版:2,940円
Nintendo DS
2005年3月24日
1人用/セーブ1つ

★★★☆☆
■ストーリー
主人公(生王)の元に、新作ネットゲームのβテスタ版が届けられた。早速、生王は友人のいる「癸生川探偵事務所」へ出向き、助手の白鷺州伊綱とβテストへ参加する事に。
そんな中、ゲーム内でユーザーが起こした殺人事件(イベント)と、同時刻に同じ状況で死亡した死体が発見される。虚構と現実で奇妙な繋がりを見せる事件に隠された真実とは…。

■どんなゲーム?
インターネット、オンラインゲーム、少年犯罪等をテーマにした推理アドベンチャーゲーム。
シナリオライターの生王になり、友人の癸生川やその助手の伊綱達に振り回されながら、奇妙な事件を推理していく。現実世界と、オンラインゲームを行き来するのが特徴。
携帯アプリで展開中の「探偵・癸生川凌介事件譚シリーズ」初のNDS版。
▼ レビュー ▼
※携帯アプリのシリーズは未プレイという状況でのレビューです。

---

携帯アプリを中心に展開しているシリーズの最新作。
ニンテンドーDSのかなり初期に出たゲームで、当時まだ”良質”で本格的なAVGが
あまりなかった為、AVGファンやシリーズファンからかなり注目されていた1本。

とはいえ、管理人が買ったのは発売されてから4年後。
しかもワゴンで1000円だったりしますが。(^^ゞ
(ずーっと気になってはいたけど、遊ぶタイミングをずっと外してた)

ゲームの内容は、オーソドックスなコマンドで「会話と移動」を繰り返すタイプ。

タッチペンで選択出来たり、2画面を使って捜査メモを常時表示と言った部分も
ありますが(当時はすごい画期的だった)、今となっては特に珍しくはなく。
お話も途中で少し分岐があるもの、ほぼ1本道なので、自ら切り開いて進むというより、
話の流れに乗っかって読み進めていくタイプの王道アドベンチャーゲームです。


1)システム・絵

システム周りは、結構良く出来てます。
セーブ・ロードのしやすさ、メッセージ速度、BGM、SEの調整、バックログは完備。
それに、選択肢が出てからもセーブ可能だったりと、痒い所に手が届く感じ。
ただ、セーブ1つなのがツライかな。分岐や評価があるなら、せめて2個欲しかった。

キャラクターは、トゥーンレンダリングされたポリゴンキャラが演技します。
可愛いのですが、重いテーマをの割には絵柄が幼いので、ちょっとアンバランスと
感じる人もいるかもしれません。逆にそれが重さを緩和してるとも言えますが。

2)シナリオ

インターネットの特性、オンラインゲームの功罪、少年犯罪等の重いテーマで、
特に、「ネットの匿名性」と「少年審判手続における秘密性」という、
2つに共通する不透明さをうまく絡めている着眼点は面白いと思います。

オンラインゲーム内でアバターが起こした殺人事件と、
同時刻に同じ状況で死んだ死体が上がるという2重構造に始まり、
そのアバター達を操作している人間をイコールで繋ぎながら捜査していくと、
次第に分かってくる人間関係のもつれや、過去の事件との関連性。
それらが、場を盛り上げるBGMと相まって、結構ドキドキして盛り上がります。

少し硬い…というか、ちょっと気障でポエムなモノローグは気になりましたが、
ゲームの途中で、助手(伊綱)から出される推理部分の選択肢も、
状況把握に非常に役に立っているし、中だるみ防止にもなってて良い感じでした。

ただ、ラストは賛否両論かな。
4転5転するストーリーは良いんですが、ラストのラストでひっくり返りすぎて
今までの捜査がほぼゼロになるのがなー。苦労のかいがないというか。(^^ゞ
クリア後に、プロローグ見ると、結構な伏線は貼ってあって面白いんですが。

あと、テキストの表現方法が、直球過ぎるほど直球なので、
重いテーマを扱っている分、人によっては説教くさいと感じるかも。
(例えば、自然がテーマの場合「自然は大切にしなきゃいかん!」と露骨に言う感じ)

シナリオライターさんの味といえば、そうなんですけどね。

3)主人公の立ち位置

主人公が、空気なのもちょっと気になりました。
シリーズを遊んでる方は、キャラをよく知っているので問題ないようなのですが、
DS版を初めて遊ぶ人には、癸生川はただの奇人(美味しい所だけは持っていく)
でしかないし、助手(主人公の助手ではなく癸生川の助手)の伊綱は常に上から目線。

主人公は、探偵の助手の助手(一般人)。というヒエラルキーの底辺にいます。
そして主人公に向かって繰り出される、上から目線発言の数々…。

私は、主人公≠自分の傍観プレイスタイルなので、
このヒエラルキーが巻き起こす、コミカルなやり取りを面白がれましたが、
主人公=自分タイプのプレイヤーは、ドMでない限りかなりキツそうです。(^^ゞ

人物描写に関しては、シリーズプレイ済み前提って感じで、
もうちょっとDS版で初めて遊んだの人向けに、登場人物が書き込んであったら、
印象もだいぶ違ったんだろうなと思うと、勿体無い感じがしますね。

プレイ済み前提と言えば、
ふいにシリーズ他作品の話題が、会話の中に出てくる小ネタ的場面があるのですが、
シリーズファンは嬉しいけど、初プレイの人には「???」な訳で。
そういう仕掛けは、他作品に興味が出るか、疎外感を感じるか、諸刃の剣だよなー。

---

4)まとめ

色々書きましたが、個人的には面白かった1本です。
プレイ時間は10時間強。定価で買ってたら高いけど、1000円だったので満足です。

重いテーマの割には、ライトな印象を受けたので、
ミステリーマニアや本格的に推理ゲームをしたい人、やり込みたい人より、
あまり頭を使いたくないけど推理ゲームしたい人や、推理マンガが好きな人向けですね。

元々が携帯アプリのゲームらしく、
中高生〜20代前半くらいの方がメインターゲットかと思います。

ただ、殺人描写が結構グロテスクなので、苦手な人は要注意。

★は3かな。個人的には面白かったけど、
アクの強いキャラと賛否両論のラストで、好き嫌いがキッパリ別れるのと、
あと、本作はすでに携帯アプリに移植され、全シリーズを携帯で遊べる現状では、
DSのパッケージ版の存在意義がかなり薄くなっているので、この評価です。

本作ではひたすら奇人だった癸生川も、本当はスゴイらしいので、
そのすごい所を見てみたくなりました。伊綱がああなったの過去とかも見たいし。
機種の都合でアプリ版は遊べませんが、DSiウェア等で出たら遊んでみたいと思います。

DSiウェアへシリーズ移植希望!(09/09/17)





BACK